確定申告について不安な先生へ

確定申告について不安な先生へ

今回は先生方がアルバイトをした場合の税金についての話題です。

先生がスポットでも定期非常勤でもアルバイトをした場合は、1月から12月までの収入について、翌年の2月に確定申告を行う必要があります。

確定申告をご自身で行っていらっしゃる先生は多くないと思います。しかし全く難しいことはなく、資料を集めて、順番に入力するだけで簡単にできます。詳細は専門書に譲りますが、アルバイトを行った場合の確定申告について、先生向けのポイントをざっくりと解説してみます。

アルバイトの確定申告で最も大事な書類は、源泉徴収票です。アルバイト先から翌年1月末頃に送られてきます。確定申告ではこれが最も大事な書類になりますので、必ず確認しましょう。万が一届いていない場合は、求人会社経由でも大丈夫なので送ってもらうよう依頼しましょう。

常勤先がある先生は、常勤の源泉徴収票も必要になりますので、必ずとっておきましょう。厳密に言えば、常勤先がある先生はアルバイト先の源泉徴収票を渡すと、年末調整で諸々の手続きを代行してくれます。しかしアルバイト先の源泉徴収票は届くことが遅いことが多く、病院が定める年末調整の締め切りに間に合わないことが多いです。また中には常勤先にアルバイト先の情報や収益を知られたくない先生もいらっしゃるでしょう。そのためご自身でされるのが現実的かと思います。

確定申告のやること

確定申告と聞くと敷居が高いもののように感じるかもしれませんが、実は慣れてしまえば全く難しいものではありません。
やることはたった2つです。

  1. 資料を集める。
  2. 集めた資料をから、数字を拾って入力する。
1.資料を集める。

資料を集めることが最も重要です。これが欠けると正しい申告はできません。

最も重要なものは源泉徴収票です。これを常勤、非常勤、スポット問わず全て集めます。

他は、毎年の常勤先の年末調整の資料と同じです。iDeCo、生命保険、ふるさと納税、住宅ローンなどの資料を集めます。

少し注意なのが12月のアルバイトです。多くの場合、12月の働いた分は翌年の1月に振り込まれるため、この場合、振り込まれた1月に収入が生じたものとします。そのため、例えば2000年12月の勤務分が2001年1月に振り込まれた場合、これ対する申告は2002年の2月分になります。

そのため12月しかアルバイトをしなかった先生は、翌年1月に源泉徴収票は届かず、翌々年の1月に源泉徴収票が届きます。(会社により微妙に対応が異なる場合もありますが、基本的には源泉徴収票に則って申告を行えば大丈夫なので、心配いりません、)

2.集めた資料をから、数字を拾って入力する。

確定申告のソフトは色々ありますが、国税庁が無料で提供していますので、こだわりがなければこちらを利用しましょう。国税庁 確定申告書等作成コーナー

ここでは具体的なやり方の詳細は割愛しますが、あとはサイトが案内する順に行っていけば大丈夫です。初めて申告される先生は、薄い本でいいので、何か確定申告の本が一冊あるとやりやすいと思います。毎年確定申告の時期になると本屋さんで必ずコーナーが設けられますので、そこで好みの本を1冊用意しましょう。

確定申告こぼれ話

税金の申告と言うと、絶対に1円たりとも間違えてはならないと緊張される先生も多いと思いますが、実はそんなことはありません。額が数十万単位など額が大きければ別ですが、数万円単位の悪意のないミスがたとえあったえも、厳しく罰せられたりすることはありません。税務署としては申告をしてくれない人が一番困るのです。真面目に申告をしている人に税務署は寛容です。

また普通に考えて、税務署が全ての人の確定申告を一字一句正確にチェックすることは実務上どう考えても困難です。給与所得者は源泉徴収をされており、税金を誤魔化そうとしても出来る手段は限られており、額も限定的です。それよりも事業主など、誤魔化そうと思えば色々できそうな人を重点的にチェックしていると考えられます。

しかしだからといって所得を故意に隠したり、少なく申告するのは脱税になるので絶対に止めましょう。もし指摘されない場合でも、税務署は把握していると考えて下さい。マイナンバーが普及し、特に給与所得を誤魔化すことはほぼ不可能な状況です。税務署にも仕事の優先順位があるので、少額の場合は指摘しても割に合わないので放っておくこともあるそうです。たまたま隠して指摘されなかった場合も、気付いていないのではなく、コストパフォーマンスに見合わないので、指摘しなかっただけかもしれません。

確定申告は税理士の先生に依頼する方法もありますが、個人の給与所得の確定申告であれば手順を踏めば自力で十分可能です。依頼すると数万円から10万円ほどはかかります。一回のアルバイト分くらいはかかってしまいます。
税理士に依頼する場合でも資料を集める面倒事は、結局先生ご自身でやる必要があります。それならアルバイトの時間で勉強して、自力でやってしまったほうがよいと思います。

また確定申告をすることで、先生が普段支払っている税金や社会保険料がどれだけ高いかを知るよい機会になります。勤務医でも取れる節税策はいくつかありますので、確定申告をきっかけにマネーリテラシーが高まるきっかけにもなります。確定申告は一回行うだけで本当に勉強になり、得ることが多いです。何を行えば税金を減らし、手取りを増やせるかということも分かります。
もしiDeCoやふるさと納税を行っていない先生がいらっしゃれば、よい機会になると思いますので、是非チャレンジして見てください。

確定申告は最初は面倒ですが、一度やれば、翌年からは流れ作業です。勉強になることも多いです。是非チャレンジしてみて下さい。